NEURO2024

市民公開講座 [第1部]
3学会合同企画

NEURO2024 市民公開講座 [第1部]

NEURO2024 3学会合同市民公開講座
精神・神経疾患の現在地

開催日
7月27日(土) 13:00-14:30
会場
福岡国際会議場 メインホール
対象
NEURO2024に参加される方、高校生・大学生および一般の方
参加費
無料

詳細はこちらからダウンロードできます

市民公開企画ちらし

開催趣旨

2020年の厚生労働省の調査によると、うつ病や統合失調症などを含む精神障害の患者数は600万人を超え、 約10年前と比べてほぼ倍増しています。精神障害では、症状自体の辛さに加えて症状が理解されにくいことによる二重の辛さが生じることが少なくありません。
本市民公開講座では、神経化学会、神経科学会、生物学的精神医学会からそれぞれ推薦を受けた3人の研究者が、認知症や精神疾患の脳内メカニズム解明や治療薬開発について、市民の皆様向けに講演します。最先端の研究について、難しい内容なのではないかと感じるかもしれませんが、医学研究の目指すところは、現在の医学では分からないことを分かるようにすること、治せないものを治せるようにすることに尽きます。つまり、最先端の脳研究も、疾患に悩まされているご本人やご家族あるいは周囲の方々の困っていることが解消されるようになることを最終的には目指しています。したがってこの市民公開講座は、市民の皆さまにとって最先端の研究について知る貴重な機会となるのと同時に、講師や主催する私たち研究者にとっても、研究の成果や目指すところが市民の方々にどのように受け止められるかを知ることの出来る貴重な場となります。
皆様の積極的なご参加をお待ちしています。

司会

山末 英典
山末 英典(浜松医科大学)

プレゼンター

増田 隆博

脳内のごみ処理システム:ごみが溜まりすぎると免疫細胞は怒りだす?

増田 隆博(ますだ たかひろ)
九州大学生体防御医学研究所分子神経免疫学分野教授・日本神経化学会より推薦

2006年に九州大学薬学部を卒業し、大学院に進学後2011年に九州大学大学院薬学府にて学位取得・博士(薬学)を取得しました。その後、九州大学大学院薬学研究院 学術研究員、同 特任助教を経て、同薬学研究院ライフイノベーション分野助教に着任しました。
2015年からはドイツ・フライブルク大学に日本学術振興会海外特別研究員として留学し、2017年からは同大学病院博士研究員として脳内免疫細胞の研究に従事しました。2020年に帰国し、九州大学大学院薬学研究院助教に着任し、その後2021年より同准教授を務めました。
2023年より現職の九州大学生体防御医学研究所・分子神経免疫学分野教授として、脳内免疫システムの成り立ちや疾患発症における役割の解明に向けた研究に従事しています。

富田 泰輔

認知症の撲滅に向けた創薬研究

富田 泰輔(とみた たいすけ)
東京大学大学院薬学系研究科機能病態学教室 教授・日本神経科学学会より推薦

1991年に東京大学に入学し、学部生の頃から一貫してアルツハイマー病や認知症の研究に携わってきました。特に最近承認されたアルツハイマー病治療薬レカネマブの標的分子でもある、アミロイドβタンパク質の研究を中心に、なぜ脳の中に異常なタンパク質が溜まって認知症になるのか、その予防や治療、診断のためにはどのようなアプローチがあるのか、について研究を続けています。
米国留学中には病気の研究から離れ、どのように神経細胞が生み出されるのか?という基礎生物学的な研究を行いました。そのときに認知症の研究を別の角度から見た経験から、「疾患の基礎研究と新しい基礎生物学は同じ」であることに気付き、その観点から大学院生、スタッフたちと認知症の基礎研究と創薬研究を進めています。

尾崎 紀夫

精神疾患のゲノム解析からメカニズム解明・創薬:当事者・家族の想いを踏まえて

尾崎 紀夫(おざき のりお)
名古屋大学大学院医学系研究科精神疾患病態解明学特任教授

私は1957 年に京都で生まれ、人の「心」に興味を持って医学部に進みました。臨床、教育、研究に関わってきましたが、いずれも自分の関心と一致していることは有り難いことです。研究では、「精神科臨床で生じる日々の疑問の解決」と「精神疾患のメカニズム解明と、それに基づく診断、治療・予防法の開発」を目指しています。自閉スペクトラム症、統合失調症、双極症、うつ病、認知症、摂食障害など、様々な精神疾患の診断・治療法やメカニズムを、多角的に研究しています。精神疾患の当事者やその御家族から研究に対する期待を伺ったところ、「精神疾患のメカニズム解明」と「新たな治療薬の開発」が最も多い御意見でした。また2023年から「ゲノム医療推進法」が施行されています。精神疾患のゲノム解析からメカニズムの解明とそれに基づく治療薬の開発を進めています。今回はその一端についてお話しさせて頂く予定です。